| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-065  (Poster presentation)

淡路島における裏山の植物を用いた生活文化―昭和中期と現在の比較・若年層への普及―
Use of wild plants collected from coppice around farmland -Comparison of mid-Showa era and recent years and familiarize to young generation-

*吉野咲, 澤田佳宏(兵庫県立大学)
*Saki YOSHINO, Yoshihiro Sawada(University of Hyogo)

 農村の宅地や田畑の近隣にある山林(裏山)の恵みを用いた生活文化を記録すること、および昭和以降のその変遷を把握することを目的として、2018年3月~2019年1月に淡路島の住民109名に聞き取り調査を行った。
 その結果、昭和以降の裏山の恵みとして、植物139種、菌類13種、動物37種の利用が確認された。利用の用途は、燃料、建材、食材、祭祀、生活道具、薬、遊び、観賞・装飾、その他の9つのグループに分類できた。自生種の利用だけではなく、植物や菌類では裏山で有用種を栽培して利用する例もあった。これらの恵みの利用の多くは、高度経済成長や燃料革命に伴う生活様式の変化によって1960年代~1970年代に停止した。また、マツの建材利用やマツタケの食材利用は、1970年代の松枯れの影響によりほとんどが停止した。一方で、中山間地域では風呂の燃料や竹のほうき、マダケの稲木などの生活道具で、現在も継続する恵みの利用があった。継続する理由として、それらに代替が効かない価値がある可能性と材料の入手のしやすさが考えられた。近年では自然志向の移住者や島内の若年層が薪ストーブなどで新しく燃料としての利用を始める例や、島内の建築事務所によるヒノキやマダケの販売的利用など、新規開始または再開される恵みの利用があった。
 裏山文化が都市住民や島内の若年層にとって興味をひく文化であるかを探ることを目的として、「シュロ葉のハエたたきづくり」ワークショップを計5回行った(参加者のべ110名)。参加者の感想から、シュロ葉のハエたたきのような裏山文化は実用目的以外に装飾目的によって関心を集めるものであることがわかった。また、参加者は身近な環境に利用できる恵みがあることをイベントを通して認識し、関心を寄せていた。このように、裏山の利用形態は昭和中期から今日までに変化してきたが、現在も裏山の利用価値は失われておらず、農山村の地域資源として活用できるものと考えられた。


日本生態学会