| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-287  (Poster presentation)

訪花昆虫を介した植物多様性による種子生産への影響:植物の除去操作実験による検証
Effects of plant diversity on seed production mediated by flower-visiting insects: evidence from a plant removal experiment

*橘太希(横浜国立大学環境情報), 内田圭(横浜国立大学環境情報), Xiaoming LU(The Chinese academy of science), Xuezhen ZHAO(The Chinese academy of science), 岡田慶一(横浜国立大学環境情報), 近藤駿太郎(横浜国立大学環境情報), 森章(横浜国立大学環境情報), Yongfei BAI(The Chinese academy of science), 佐々木雄大(横浜国立大学環境情報)
*Taiki TACHIBANA(Yokohama National Univ.), Kei UCHIDA(Yokohama National Univ.), Xiaoming LU(The Chinese academy of science), Xuezhen ZHAO(The Chinese academy of science), Keiichi OKADA(Yokohama National Univ.), Shuntaro KONDO(Yokohama National Univ.), Akira S. MORI(Yokohama National Univ.), Yongfei BAI(The Chinese academy of science), Takehiro SASAKI(Yokohama National Univ.)

気候変動や人為的な環境改変により、生物多様性は急速に減少してきている。生物多様性の減少は生態系機能や生態系サービスの低下を招くことが危惧されている。これまでの生物多様性と生態系機能の関係に関する研究は、主に植物とそれが生み出す機能の検証であった。しかし、生態系機能には異なる栄養段階の生物間相互作用によって維持されているものが存在する。植物と送粉者の生物間相互作用によって生じる送粉機能は、植物の種子生産に貢献する重要な生態系機能である。近年、植物群集の変化が植物―送粉者相互作用に影響を与えることが明らかにされつつあるが、相互作用を介して植物の種子生産に与える影響の検証はほとんど行われていない。
本研究は、内モンゴル自然草原における植物多様性の違いが植物―送粉者相互作用を介して顕花植物の種子生産に与える影響を検証する。検証は、内モンゴル自然草原に設置された6m×6mの植物除去操作プロット64個にて実施した。送粉観察では、各6mプロット内に設置した3つの2m×2mサブプロットにおいて、花数と送粉昆虫の訪花数を植物種ごとに記録した。送粉観察は、7月中旬および8月中旬の2回、9:00-12:30および13:00-16:30の2タームの合計2,720分間の観察を実施した。7月と8月の送粉観察後、送粉観察を行った植物種を対象として1種当たり3袋掛けを行った。9月中旬に回収し、1個花あたりの種子数と種子重を計測した。
本研究の解析は、プロットレベルの送粉ネットワークを定量化(Generality, Vulnerability, Shannon’s evenness, Network pecialization H2', など)し、植物多様性が送粉ネットワークや送粉効率を介して種子生産に与える影響を検証する。具体的には、1)送粉ネットワークパラメータあるいは送粉効率に対する花種数・花数の影響と2)ネットワークパラメータや送粉効率を介して植物多様性が種子生産に与える間接的な影響の2つを検証し、植物多様性―送粉ネットワーク―種子生産の関係について考察する。


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