| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-299  (Poster presentation)

農業用水路における水生植物群集の季節変化と農業利用方法の関係
Relationship between Seasonal change of aquatic plants' communities and agricultural uses in the agricultural channels.

*槐ちがや(筑波大生命環境科学), 上條隆志(筑波大生命環境系), 田中法生(国立科博)
*Chigaya ENJU(Univ. of Tsukuba Env. Sci.), Takashi Kamijo(Univ. of Tsukuba Life and Env.), Norio Tanaka(Natl. Mus. Nat. Sci.)

 農業用水路を含む農業生態系は水生植物をはじめとした水生生物の生育場所として重要である。特に湧水が豊富な地域における農業用水路群は冬季でも水位が安定している水路もあり、多様な水生植物種が生育することが知られている。一方、水位低下は水生植物群集の生育に大きく影響していることが湖沼や湿地において報告されているが、冬季の水位が農業用水路の水生植物群集に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究では、湧水が影響している農業用水路における1)水生植物の季節変化、2)環境要因と水路構造などの環境要因が各水生植物種、および水生植物群落に与える影響とその季節変化、3)渇水期である冬季の環境要因が次年の水生植物に与える影響を明らかにすることで、湧水域に存在する農業用水路における水生植物の管理および保全の方向性を検討することを目的とした。
 調査は栃木県大田原市および高根沢町の、農業用水路92地点を調査区として植生調査、環境要因調査および農業利用調査を行った。その結果、水生植物在の相対被度は8月と12月に最大であり、冬季にも水生植物が存在していた。水路構造で水生植物在の相対被度を分けると土水路においてその相対被度が季節を通して最も大きかった。冬季の環境要因として12月水深を用い、水路構造を含めて冬季の環境要因が次年の水生植物に与える影響について検討した結果、沈水形、水生植物在、NMDS1軸に対して12月水深が正に相関し、土水路が三面張に比べて正に相関していた。
 以上から、湧水域の農業用水路における水生植物群集は冬季にも水深が安定して存在する場所で豊富なことが示された。しかし、在来種と外来種が同じ環境を好む傾向も見られ、保全のためには、外来種の選択的除去を行う必要があると考えられた。


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