| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-357  (Poster presentation)

干潟ベントス群集の経年変化に対する空間スケールの影響 【B】
Effects of spatial scale on annual changes of the macrobenthic community in a tidal flat 【B】

*村上純一, 柚原剛, 占部城太郎(東北大院・生命)
*Junichi MURAKAMI, Takeshi YUHARA, Jotaro URABE(Tohoku Univ.)

 仙台湾名取川河口にある東谷地干潟は,陸化したヨシ原であったが,東日本大震災の津波による貞山堀堤の崩落や地盤低下によって海水が流入し,10haほどの干潟となった。この干潟内にはヨシ原,転石,砂泥など多様な生息環境が見られる。そこで,このような空間的異質性が干潟全体のベントス群集の形成や時空間的変動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするため,2013年より6年間継続的に干潟ベントス群集を調査した。
 調査は毎年9月の干潮時に実施し,干潟内に設置した21ヶ所の調査地点において,直径15cm×高さ20cmのコアサンプラーによって埋在性のベントスを,周辺のセンサス調査により表在性のベントスを採集した。また,生物採集時に底質の土壌硬度・酸化還元電位・地温・クロロフィルa量を測定した。
 調査の結果,干潟全体としては調査開始年にあたる2013年は26タクサが出現し,その後は毎年30〜38タクサが採集され,6年間の調査で計55タクサのベントスが出現した。また,調査地点ごとの出現タクサ数を比較すると,干潟内の特定の地点において調査期間を通して多くのタクサが出現する傾向が見られた。これらベントス群集の動態について,局所(地点)と干潟全体の2つのスケールで解析を行い,干潟全体のベントス群集に果たす空間的異質性の役割や出現タクサに対する底質環境の影響について議論する。


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