| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-508  (Poster presentation)

絶滅危惧種ホクリクサンショウウオの環境DNAを用いた検出法の確立
Establishing a Detection System for Endangered Specie, Hokuriku Salamander, Using Environmental DNA

*大西泰歩, 荒川裕亮, 中谷内修, 柳井清治(石川県立大学)
*Yasuho ONISHI, Hiroaki Arakawa, Osamu Nakayachi, Seiji Yanai(Ishikawa Prefectural Univ.)

 絶滅危惧種ホクリクサンショウウオ (Hynobius takedai) は石川県と富山県に分布するが,現在の正確な分布は把握されていない.そこで,近年希少生物の調査方法として利用されている環境DNAに注目した.本研究では本種の在不在を明らかにする環境DNAの検出手法を確立することを目的とする.本研究では本種に特異的なプライマーを設計し,特異的増幅の精度を上げるためにPCR条件を決定した.本実験では環境水1Lをろ過し,フィルター上に捕集した残渣から抽出、精製を行った。本種の幼生期にあたる6月に羽咋市5地点,宝達志水町5地点で環境水を採水・ろ過した環境水を,決定したPCR条件で分析を行った.
 分析結果から,潜在的に本種が生息している地点を発見したほか,生息地とその源流 (上流) 水中に含まれるDNAは互いの検出に影響力を持たないこと,卵嚢期である場合本種は環境DNAで検出されないことが明らかとなった.このことはサンショウウオの環境DNA分析の精度向上に向け,有用な知見となる可能性がある.しかし分析結果は既知の生息情報と大きく異なるものとなった.その原因は1) 採水量,2) 採水した時間,3) 採水時期にあると考えられた.


日本生態学会