| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-017  (Poster presentation)

北海道における効率的なアライグマ対策の検討
Evaluation of the efficient measures against invasive raccoons in Hokkaido.

*佐鹿万里子(北海道大学・獣医), 阿部豪(野生鳥獣対策連携(株)), 中井真理子(NPO おおいた EC), 島田健一郎(大分市役所環境対策課), 坪田敏男(北海道大学・獣医)
*Mariko Sashika(Hokkaido University), Go Abe(Wildlife Consulting Center Ltd), Mariko Nakai(NPO Oita EC), Kenichiro Shimada(Oita City Hall), Toshio Tsubota(Hokkaido University)

外来種アライグマは全国各地で野生化し、農業被害や生態系への影響など様々な問題を引き起こしているが、対策が進んでいない地域が多く、アライグマによる被害は増加している。そこで我々はアライグマ対策のモデル地域として北海道立自然公園野幌森林公園(2,051ha)を選定し、2004年より効率的なアライグマ対策の構築及び実行可能性の検討を行ってきた。2004~2007年までは環境省事業等と連携して春期・夏期・秋期の年3回のアライグマ捕獲調査を行い、アライグマの低密度化に成功した。その後は、作業の省力化と捕獲の効率化をめざし、北海道においてアライグマの捕獲効率が最も高くなる春季に捕獲圧を集中させ、その効果を検証した。また、2003年以降は野幌森林公園に生息しているエゾタヌキの捕獲調査も開始し、アライグマとの競合関係についても調査を行っている。捕獲されたエゾタヌキにはマイクロチップを挿入して個体識別を行い、個体数変動を解析した。その結果、各年のアライグマ捕獲数は30~45頭と変動はあるものの、急激な増加は見られず、低密度の状態が維持されていると考えられる。一方、エゾタヌキ捕獲数は、2004~2013年までの間は10頭前後と少数であったが、2014年以降、徐々に回復し始め、2018年の捕獲数は54頭にまで増加した。野幌森林公園におけるエゾタヌキの個体数回復は、アライグマ個体数の低密度化が要因の一つとして考えられ、アライグマ対策の効果が示された。


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