| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-022  (Poster presentation)

外来カワリヌマエビ属の日本への侵入初期における在来種ミナミヌマエビとの形態比較 【B】
Morphological comparison between alien Neocaridina spp. and indigenous N. denticulata denticulata during an early period of thier invasion into Japan 【B】

*西野麻知子(びわこ成蹊スポーツ大), 吉田裕之(須磨海浜水族園), 佐藤國康(川崎医科大学)
*Machiko NISHINO(Biwako Seikei Sport Coll.), Hiroyuki Yoshida(Suma Aquarium Park Kobe), Kuniyasu Sato(Kawasaki Medical School)

 かつて西日本の淡水域には、在来のミナミヌマエビNeocaridina denticulata denticulataが生息していた。しかし現在、中国原産と思われる外来カワリヌマエビ属(Neocaridina spp.)が北海道から九州まで分布拡大する一方、在来種は限られた地域にしか生息していない。今回、1980年代初期に岡山県各地で採集された標本の形態を比較したところ、在来種と外来種、および両種の中間的な形態を示す個体が複数確認された。また中間的な形態を示す個体には、両種の区別点である額角長、第3胸脚前節の湾曲の程度および第1腹肢の内肢の幅に大きな個体差がみられた。このことは、外来カワリヌマエビ属が1980年代初期には西日本に侵入、定着していたのみならず、当時から在来種との間で交雑が生じていたことを示唆するとともに、外来カワリヌマエビ属のみならず、在来種との交雑個体もまた日本全国に分布域を拡大し、さらに各地で交雑を繰り返している可能性を示している。


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