| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-246  (Poster presentation)

河川における環境DNAによるアカミミガメ防除効果の検証
Evaluating the Effectiveness of Control Measures for Invasive Red-eared Slider Turtles Using Environmental DNA

*金山明理(ひょうご環境創造協会), 飯塚徹谷(ひょうご環境創造協会), 横田雅弘(ひょうご環境創造協会), 鈴木孝典(神戸市), 岸本祥(神戸市), 中村淑樹(神戸市), 齊藤博之(神戸市), 源利文(神戸大・院・発達)
*Akiri Kanayama(HEAA), Tetsuya Iiduka(HEAA), Masahiro Yokota(HEAA), Takanori Suzuki(Kobe City), Akira Kishimoto(Kobe City), Toshiki Nakamura(Kobe City), Hiroyuki Saito(Kobe City), Toshifumi Minamoto(Grad Sc Human Dev Env, Kobe U)

神戸市では平成28年度より市内西部を流れる瀬戸川や明石川等においてアカミミガメの防除を実施しており捕獲実績を上げているが、防除効果の確認や効率の良い防除地点の選定のため簡易な個体数の推定ができれば調査をより効果的に進めることができる。そこで本発表では野外での労力の少ない環境DNA分析手法により、「環境DNA量による防除効果の検証」及び「防除個体数とDNA量をもとにした生息個体数の推定」を行った。
試料採取は瀬戸川8地点において、夏季及び秋季の防除前後で各地点500mLの試料を12本採取し、環境DNAの定量を行った。防除前後のDNA量は、夏季防除前に比べ秋季防除後は86%減であった。環境DNAの定量により、防除効果を検証することができたため、次に採水地点周辺における個体数の推定を試みた。まず、個体推定法の一つである除去法を用いて各地点の個体数の推定を行ったが、捕獲数のばらつきがある地点や、捕獲効率が低く捕獲数が減少しない地点では個体数を推定することが困難であった。そこで、除去法で推定できた地点周辺の推定個体数とその地点の環境DNA量の比較を行った。その結果、DNA量と推定個体数の間に有意な相関がみられた。得られた回帰式から採取地点のアカミミガメ個体数を推定した結果、回帰式の95%予測区間から、調査地点全体の推定個体数は、防除前130~286匹、防除後13~78匹となった。今回の調査では、「環境DNA量による防除効果の検証」及び上記条件の下ではあるが「防除個体数とDNA量をもとにした生息個体数の推定」を行うことができた。生息個体数の推定については、考慮する課題も多く、今後データの蓄積や様々な試行が必要であると思われるが、環境DNA分析手法は、防除効果の確認や防除地点の選定のためにも有効な手法であることが推察された。


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