| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-267  (Poster presentation)

アフリカのサバンナ生態系におけるシロアリ塚と植物多様性
Effects of termite-mounds on plant diversity in African savanna

*山科千里(筑波大学), 藤田知弘(国立環境研究所)
*Chisato YAMASHINA(University of Tsukuba), Tomohiro Fujita(NIES)

 アフリカのサバンナやウッドランドにおいてキノコシロアリの形成する大きな塚は、食料となる有機物の集積や塚内部の温度や湿度環境の変化によって資源や空間の不均質な場となる。この不均質な場であるシロアリ塚には、周囲に比べて多様な植物群落が形成されることが多くの研究から指摘される一方、シロアリ塚上には周囲に比べて貧弱な植生しか発達しない報告もある。
 本研究では、シロアリ塚が植物の種多様性に与える影響の方向性(正or負)を決める要因を明らかにすることを目的とした。南部アフリカに位置するナミビアの北西部・北東部およびマラウィ北部において、シロアリ塚と周辺植生を対象に植生調査を行い、出現樹木個体数をカウントし、樹種を同定した。
 その結果、ナミビア北西部においてシロアリ塚は植物の定着を阻害し、植物の種多様性に寄与しなかった。一方、ナミビア北東部では、シロアリ塚上に周囲に比べて個体数、種数ともに多くの樹木が出現し、シロアリ塚上には種多様性の高い樹木群落が形成された。また、マラウィ北部では、シロアリ塚上の植生は周囲に比べて樹木密度は高かったが、出現樹種数は両サイトで差がなかった。
 上記の3調査地に加えて、アフリカのサバンナにおいて行われた先行研究の結果を加え、シロアリ塚と植物との関係、植生タイプ、土壌養分、気象条件などを比較し、シロアリ塚が植物の種多様性に与える影響の方向性を決める要因を検討した。


日本生態学会