| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-387  (Poster presentation)

過去133年間の日本の水稲収量と気候変動 【B】
Effect of climate change on rice production in Japan during last 133 years 【B】

*加藤知道, 渡邊大樹(北海道大学)
*Tomomichi KATO, Watanabe Daiki(Hokkaido University)

<p>気候変動は農業生産に大きな影響を与えていると考えられており、その程度を把握することは将来の食料政策の決定に非常に重要である。これまで、世界の気候変動と水稲収量の関係が農業統計資料をもとに調べられて来た(Lobell et al, 2011, Scienceなど)。しかし、用いられたFAOなどの資料は国家レベルのデータであり気候特性の地方における違いを考慮していない。本研究は、過去133年間の日本の水稲栽培についての46都道府県(沖縄県をのぞく)の農業統計資料を収集し、水稲反収の年々変動に対する気候変動の影響の度合いを統計的に明らにすることを目的とする。
 比較するための気候データは、CRU(イーストアングリア大学気候研究ユニット)の地上気象観測データベースの長期気候データ(1901-2016年、0.5度グリッド、月別)を、0.05度グリッドに内挿し、県別の主要気候変化(気温・降水量・雲量等)の長期データとして準備した。さらに、エルニーニョ等の気候モードを表現するテレコネクション指数(NiNO3, SOI, AO, NAO, PNA, PDO, IOD, PJ等)のデータを収集した。
 初歩的解析の結果は、133年間の収量の増加率には大きな地域差があり、特に北日本での増加率が顕著に高かった。現在は、作物収量データから動的線形モデルを利用しトレンド除去する作業を行なっており、その後、90年代後半に現れる収量増加の停滞(Stagnation)の時期の特定と、気候変動・気候モードと収量の年々変化の関係について発表する予定である。</p>


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