| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-48  (Poster presentation)

プラナリアの耳葉のはたらき
Functional study of Planarian auricles

*久池井美賀子, 吉田早希(福岡県立城南高等学校)
*Mikako Kuchii, Saki Yoshida(Fukuoka Jonan High school)

プラナリアの耳葉のはたらきを知るために、耳葉や餌の条件を変えて実験を行った。各条件において3個体ずつシャーレに入れ、30秒毎のプラナリアの位置座標を得た。その結果、餌がある場合、耳葉の有無により餌付近の記録数に差が認められたことから、耳葉の機能がプラナリアの餌付近への到達行動に影響を与えていると考えた。また、餌がない場合で耳葉の有無により縁付近の記録数に差がみられたことから、餌がない時の行動にも影響を与えていると考えた。次に、プラナリアを1個体ずつシャーレに入れ、行動の軌跡を調べた。その結果、耳葉の有無にかかわらず、餌が無い場合はシャーレ上を様々な方向に動き回り、餌がある場合は餌があるにも関わらず、シャーレの縁に沿って動いていた。餌がある場合で餌へ向かう動きが認められなかったことから、餌の成分がすぐに水の中に充満してしまい、餌の方向を特定できなかったと考えられる。そこでシャーレを大きな容器に変え、次の実験を行った。容器の端に餌を入れ、もう一方の端からプラナリアを10個体投入しその後の行動を1時間に渡って観察した。その結果、耳葉のある場合は開始直後に多くの個体が餌付近に到達していたが、耳葉のない個体は餌から少し離れた場所で頻繁に方向を変えて餌を探しているような様子が観察された。このことから、耳葉で餌の方向を感知していると考えられる。さらに、餌を入ない場合でも実験を行ったところ、耳葉のある個体は、広い範囲を速いスピードで動いていた。それに対して耳葉のない個体はほとんど動かず、同じ場所に長く留まっていた。餌がない時の行動に大きな差が見られたことから、耳葉は餌の方向を感知しているだけでなく、他の行動に必要な刺激も感知しているのではないかと考えられる。今後は、耳葉の微細構造を観察し、プラナリアの普段の行動に耳葉がどのように関わっているのかを明らかにしていきたい。


日本生態学会