| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-49  (Poster presentation)

ミズクラゲにおける感覚器と傘の開閉運動の関係
A relationship between rhopalium and movement in Aurelia aurita

*松永悠奈, 西脇千晃(清心女子高等学校)
*Yuna Matsunaga, Chiaki Nishiwaki(Seishin Girls' High School)

 ミズクラゲは傘の縁に8つの感覚器を持つ。感覚器には平衡を保つ平衡石や、光を感じる眼点が存在する。実験により、感覚器が光とその色に対してどのような反応をするか、拍動数・運動方向をみることで感覚器がミズクラゲに与える影響について調べ、その生態について深く知ることを研究目的とした。
 実験では幅60㎝×奥行30㎝×深さ25㎝のガラス製水槽内を海水で満たし、その中に個体を投入した。なお、水温は20℃とした。
 実験1では、ミズクラゲ7匹を水槽に入れ、白色光・赤色光・青色光・緑色光の4色いずれかのLED蛍光灯を設置し、最初の拍動が始まってから1分間を一区切りにして60分間、拍動数を測定した。
 実験2では、ミズクラゲ4匹を水槽に入れ、水槽の片側に前述の4色いずれかの光源を設置した。水槽の幅を等間隔に8つに区切り、それぞれの区間を光源側から1~8区間とし、30秒ごとにクラゲが1~8のどの区間にいるのかについて、最初の拍動が始まった時点から60分間観察した。 
 実験3では、ミズクラゲ4匹を水槽に入れ、水槽の両側に前述の4色のうち2色の光源を設置し、実験2と同じように水槽を1~8の区間に区切り、30秒ごとにクラゲが1~8のどの区間にいるのかについて、最初の拍動が始まった時点から60分間観察した。
 実験4では、ミズクラゲの感覚器の有無が個体の運動方向また、拍動数にどのような変化を及ぼすのかについて調べた。ミズクラゲ計3匹水槽に入れ、8つある感覚器を一つずつ取り除き、それぞれ1時間ごとのミズクラゲの様子を8時間分録画した。そのデータについては現在解析中である。
 得られたデータから、ミズクラゲは各色の光を与えた場合、白>青>赤>緑色の順に拍動数が多くなることから、色による感受性の違いが確認された。また、単一の光源を用いた場合は白色光や青色光の方へよく集まるものの、複数の光源を置いた場合には緑色光に集まる傾向が確認された。


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