| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S02-6  (Presentation in Symposium)

HTLV-1感染細胞クローンの多様性に着目した病態進行の予測
Prediction of disease progression focused on diversity of HTLV-1-infected cell clones

*高木舜晟(九州大学)
*Mitsuaki Takaki(Kyushu University)

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、感染細胞の生存・増殖により生体内で継続的に感染し、感染者に成人T細胞白血病(ATL)や脊髄症などの関連炎症性疾患 (HAM) を引き起こす。また、HTLV-1はウイルス自らのDNAを未感染の宿主(ヒト)の細胞のDNAに組み込む。このウイルスDNAが組み込まれた部位(プロウイルス組込部位)をIDとして感染細胞が識別できる。新規に感染した細胞では、組込部位がバラバラである一方、クローン増殖した細胞の組込部位は同一となる。興味深いことに、近年の次世代配列解析により、ATL患者と無症候のHTLV-1キャリアの間では感染細胞の集団構成に違いがあることが明らかになった。すなわち、組込部位の多様性(クローナリティ)が、ATL患者と無症候のキャリアでは質的に異なるのである。本講演では、この多様性の違いを定量的に再現し、病態進行の予測を可能にするシミュレータの背景を説明したのち、シミュレータから得られた理論的な知見について述べる。


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