| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W01-5  (Workshop)

島の植物に雌雄異株が多いのはなぜか?
Reason for the high proportion of dioecious plant species on Islands

*渡邊謙太(沖縄高専)
*Kenta Watanabe(NIT, Okinawa KOSEN)

島は生態学的・進化学的に興味深い数多くの研究テーマを提供している。島とそこに生育する植物の繁殖様式、特に雌雄異株性との関連については、これまで多くの研究者が注目し、様々な議論がなされてきた。

初期の理論的な研究では、植物が大陸から離れた海洋島に移入する場合、雌雄異株のような性的二型をもつ植物は移入後の繁殖に困難が予想されるため、一個体から繁殖を開始できる自殖性の植物の方が有利だと考えられた。ところが実際には、ハワイ諸島を始め多くの海洋島の植物相において、雌雄異株植物の割合が高いことがわかってきた。この現象の背景には、海洋島において雌雄異株が有利になる、あるいは雌雄異株がたどり着きやすい何らかの理由が存在すると考えられる。

「島でなぜ雌雄異株が多いのか(有利なのか)」という疑問を明らかにすることは、島に限らず植物全般において「雌雄異株がなぜ一定の割合存在し、維持されているのか(有利なのか)」という進化生態学的要因の解明につながるはずである。

ここでは島と雌雄異株性を巡るこれまでの研究を俯瞰し、具体的な研究例を紹介しながら、これまでに何がどこまで明らかになっているのか、またこれから何を明らかにすべきなのかを整理したい。具体的には以下の3つの疑問点を中心に検討する。

Q1. 島では雌雄異株の植物がどの程度多いのか?
Q2.島の植物の雌雄異株性は祖先種に由来するのか、それとも島で独立に進化したのか?
Q3. 島ではなぜ雌雄異株性が頻繁に進化したり、維持されたりしているのか?


日本生態学会