| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W03  3月15日 17:00-18:30 Room E

きのこる6 ー甲虫
Mushroom and beetle

都野展子(金沢大学)
Nobuko Tuno(Kanazawa Univ.)

森林で重要なバイオマスを占める木本の主要構成成分リグニンを分解しうる微生物は担子菌にほぼ限定され、さらに、陸上植物の栄養循環や生存・成長に不可欠である外生菌根菌類も担子菌にほぼ限定される。担子菌は土壌中には少なく植物遺体や外生菌根からしか検出されず木本類の進化と密接に関わってきたと考えられる。外生菌根性植物はマツ、クルミ、ヤナギ、カバノキ、ブナ、ニレ、フタバガキ、バラ、フトモモ科など北半球に分布するジュラ紀おそらくは白亜紀以降に出現した分類群に限られ、それ以前の植物は子実体を作らないアーバスキュラー菌根菌と共生している。菌類は森林生態系の中で昆虫類の餌資源でもあるが、進化的には大型キノコもキノコ食昆虫の出現も、被子植物の出現したジュラ紀、主には白亜紀以降であり、被子植物を宿主とする担子菌類、担子菌類の形成する大型キノコを食べる昆虫類、特にキノコ食性甲虫目と双翅目の種多様性の増加は同時期に起こっている。
 キノコる自由集会もしつこくも6回目となり、キノコ食昆虫として古典的ともいえる甲虫とキノコの関係をまた違う角度から研究してみました。地下深くに形成されるアーバスキュラー菌根菌胞子果を食べるコガネムシ類の発見と生態について、菌食性甲虫ツツキノコムシ類の宿主菌種の利用から明らかにされた隠ぺい種の発見と地理的分布について、木材腐朽菌クジラタケを主に摂食するルリオオキノコの胞子散布の生態について3人の演者から話題提供いただきます。甲虫とキノコの関係は種特異的なものが多いのですが、キノコの何がその特異性を産んでいるのかについても考察を試みます。キノコ好きのかたはもちろんキノコに関心のない方も是非ご参加ください!

[W03-1]
菌食性甲虫ツツキノコムシ類における寄主利用の多様性と進化 小林卓也(京大院・理)
Diversity and evolution of host use in fungivorous ciid beetles Takuya Kobayashi(Kyoto Univ.)

[W03-2]
アーバスキュラー菌根菌胞子果を食べるコガネムシ類の発見とその生態 日暮卓志(千葉県立中央博物館)
Feeding Behavior and Lifecycle of Mycophagous Dung Beetles Feeding Arbuscular Mycorrhizal Sporocarps: Possibility of Spore Dispersion by Insects Takashi Higurashi(NHMIC)

[W03-3]
木材腐朽菌食性ルリオオキノコの消化管内胞子相と大気中胞子相 都野展子(金沢大)
Comparison of airborne and vector borne wood rotting fungal species by NGS Nobuko Tuno(Kanazawa Univ.)


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