| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W27  3月17日 17:45-19:15 Room B

間接効果を通して見る世界:(2)生態系から見た間接効果の「ごりやく」
Novel ecological perspectives arising from indirect effects: (2) Ecological consequences of indirect effects in a wide range of ecosystems

大串隆之(京都大学生態学研究センター), 宇野裕美(京都大学生態学研究センター)
Takayuki Ohgushi(Center for Ecological Research, Kyoto University), Hiromi Uno(Center for Ecological Research, Kyoto University)

「間接効果」は、あらゆる生態システムで主役を演じている。栄養カスケードや見かけの競争は、生物群集や食物網を語る上で今や避けては通れないキーワードになった。一方、種内の個体間関係でも間接効果はキープレイヤーだ。たとえば、包括適応度は遺伝的な間接効果そのものだ。また、現在、台頭しつつある生態進化ダイナミクスの発展に、間接効果の考え方は欠かせない。さらに、社会科学、経済学、文化人類学、遺伝子ネットワークの分野でも注目され始めた。このように、生態学の枠を超えて幅広い分野でホットな話題を提供している、それが「間接効果」だ。間接効果をいち早く取り入れた欧米に対して、日本は大きく遅れている。日本の生態学が世界の激流に飲み込まれ溺死しないうちに、サーファーよろしく大波を捕らえて中天高く舞い上がろうではないか。それには、「間接効果」との出会いの場が必要だ。それがこの自由集会である。ここでは様々な分野の研究者に間接効果との出会いや自らの研究を通して体験した間接効果の「ごりやく」を披露してもらう。

 昨年の立ち上げ興行は盛況のうちに幕を降ろした。今年は生態系から見た間接効果の「ごりやく」だ。自然の中で深呼吸すると、川の流れる音、土の匂い、木の葉のかすれ合う音、鳥のさえずり、虫の声を通して多様な生き物が共に生きていることを実感する。彼らは、大自然の中で森川海、地上と地下など空間をこえて影響しあって生きている。その自然の広大な美しさと繊細さを科学する、その至福のひと時に間接効果を通して目に映る世界はわたしたちに何を語りかけるのだろうか。生態系の本来の姿をじっくり見てみよう。

1. 自由集会の進め方
 大串隆之(京大•生態研)
2. 生態系を行き来する資源
 宇野裕美(京大•生態研)
3. 地上と地下の生態系をつなぐ
 片山昇(小樽商大)
4. 生態系の生物多様性を捉え直す
 佐々木雄大(横浜国立大)


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