| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) L01-09  (Oral presentation)

マイクロサテライトも「読む」時代:アンプリコン解析による高効率ジェノタイピング
Cost-effective and accurate microsatellite genotyping by high-multiplex amplicon sequencing: Application to alpine plants

*甲山哲生(北海道大学, 自然環境研究センター), 亀山慶晃(東京農業大学), 雨谷教弘(国立環境研究所), 工藤岳(北海道大学)
*Tetsuo I. KOHYAMA(Hokkaido Univ., JWRC), Yoshiaki KAMEYAMA(Tokyo Univ. of Agriculture), Yukihiro AMAGAI(NIES), Gaku KUDO(Hokkaido Univ.)

マイクロサテライトは、真核生物のゲノムに散在する、ごく短いDNA塩基(1〜6塩基)を単位とした反復配列であり、その反復配列長の進化速度は極めて速い(多型性が高い)。そのため、遺伝子マーカーとして親子解析や連鎖解析、個体群間の遺伝的多様性の比較など、主に種内レベルの遺伝的変異の評価に広く用いられている。従来、マイクロサテライト領域を含む遺伝子座のジェノタイピングには、PCR増幅したDNA断片について、反復配列長の違いを、電気泳動によって分離・測定する手法が用いられてきた。従来の手法は簡便ではあるものの、1) DNA断片の長さ情報にのみ基づくため、反復回数以外の変異(置換、欠失、挿入)を検出できない; 2) 地理的に離れた個体群間や、異なる研究プロジェクト間での対立遺伝子の同一性が評価できない; 3) 同時に解析できる遺伝子座数に上限がある; といった欠点がある。近年では、これに代わる手法として、次世代シーケンサーを用いたジェノタイピング手法が用いられつつある。本手法では、PCR増幅したDNA断片の塩基配列を直接解読するため、従来の手法の欠点が解消でき、また、次世代シーケンサーの能力を最大限活かすことによって低コスト化が望める。本講演では、次世代シーケンサーを用いたマイクロサテライトジェノタイピング法について、高山帯植生の系統が異なる草本複数種への適用例を示し、実験手法やコストについて、従来の手法と比較するとともに、演者らが新たに開発したジェノタイピング・ソフトウェアを紹介する。


日本生態学会