| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-082  (Poster presentation)

自殖集団で有害遺伝子が維持される要因の新仮説:2遺伝子座2対立遺伝子モデル
A new hypothesis for the maintenance of high inbreeding repression:2 loculs 2 allele model

*酒井聡樹(東北大学)
*Satoki SAKAI(Tohoku University)

自殖集団では、有害遺伝子がホモとなって排除されるため、有害遺伝子は維持されないと理論的に予測されている。しかし現実の植物では、自殖集団においても非常に多くの有害遺伝子が維持されている。私は、その要因の新しい仮説として、早期遺伝子と後期遺伝子の相互作用を提唱した。シミュレーションを行ったところ、この仮説を支持する結果を得た。
 本発表では、この仮説をさらに検討するため、2遺伝子座(早期遺伝子座と後期遺伝子座)2対立遺伝子(有害遺伝子と健全遺伝子)モデルを用いた解析を行う。そして、以下の場合での有害遺伝子の維持度の比較を行う。

早期遺伝子座の維持度
「早期1遺伝子座 後期1遺伝子座」における早期有害遺伝子の変化 vs 「早期0遺伝子座 後期2遺伝子座」における後期有害遺伝子の変化
「早期1遺伝子座 後期1遺伝子座」における早期有害遺伝子の変化 vs 「早期2遺伝子座 後期0遺伝子座」における早有害遺伝子の変化

後期遺伝子座の維持度
「早期1遺伝子座 後期1遺伝子座」における後期有害遺伝子の変化 vs 「早期0遺伝子座 後期2遺伝子座」における後期有害遺伝子の変化

解析の結果、早期後期の両遺伝子座がある方が有害遺伝子が維持されやすいことがわかりった。このことは、早期・後期有害遺伝子の相互作用が有害遺伝子の維持に確かに貢献していることを示している。


日本生態学会