| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-100  (Poster presentation)

ひずみゲージを利用して木に作用する荷重の総量・重心・方向を計測する
Measuring force on a standing tree by strain gauges: detecting total, center, and direction of force

*宮下彩奈, 鈴木覚(森林総合研究所)
*Ayana MIYASHITA, Satoru SUZUKI(FFPRI)

 日本をはじめ世界各国で森林における風害が問題となっている。風荷重は木の幹に沿った分布荷重であり、時空間的変化が激しく、モデルで予測することは難しい。そのため、林木にかかる風荷重の実測データを蓄積することで、風害予測に貢献できると考えられる。風害リスクの予測に関わる力学計算を行う上でも、林内の風況を知る上でも、風による荷重の重心位置と大きさ、荷重の方向を同時に計測する必要がある。しかし、現在、野外の立木に対しこのような計測が可能な手法は存在しない。そこで、ひずみゲージを利用した測定手法を開発し、室内実験によって測定精度を検証した。
 はじめに、水平片持ち梁に固定したヒノキ丸棒材に対して、複数の分銅を用いた分布荷重を加え、次に、垂直片持ち梁に固定した同丸棒材およびスギ稚樹の地上部に対して、紐による水平引張荷重を加える試験を行った。その結果、各ひずみゲージ位置における試験体の弾性係数を、荷重方向の関数として定義することで高精度の推定結果を得られる手法を確立した。本手法はゲージ貼りの精度や材のねじれなどに関わらず荷重推定が可能であり、非常に実用的であるといえる。現在までのところ、いずれの試験においても既知の荷重に対して数%以内の精度で荷重推定が可能であることを確認した。また、現在、野外の小型のスギに対して、風向風速の計測と共にひずみゲージによる風荷重の計測を試みている。その結果も併せて紹介する予定である。


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