| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-228  (Poster presentation)

Tambo Mosaics: 濃尾平野における水田環境の時空間的変化
Tambo Mosaics

*橋本啓史(名城大学)
*Hiroshi HASHIMOTO(Meijo Univ.)

中部地方の濃尾平野には大河である木曽三川が流れ,水が豊富なため水田が広がり稲作地帯となっている。またハス田の広がる地区もある。このような環境が多くのサギ類やケリなどの水鳥の生息・繁殖環境を提供している。濃尾平野では地区によって用水の利用できる時期が異なり、それによって植えられるイネの品種や農事暦が異なっている。また近年は小麦との二毛作や大豆栽培も含めた輪作が広まり、田植え・中干し時期が様々な水田が広域でも同地区でも存在するようになっている。農作業委託が広まり,受託業者が作業時期を分散するために栽培品種を変えているという事情もある。このことによってサギ類の利用しやすい状態の水田が長い期間提供されている可能性がある。このような農事暦の異なる水田がどのように分布しているかをリモートセンシングによって把握を試みた。使用した衛星画像は、5日間隔で撮影されて無料で公開されているSentinel-2衛星画像(10mまたは20mの地上空間分解能)である。5日間隔とは言え、雲に覆われている画像は利用できない。代掻き前の2019年4月6日、一般的な田植え直後の5月11日、小麦収穫後の田植え後の6月25日、稲が生育した8月9日に撮影された雲の少ない画像を利用した。各撮影日の正規化差分水指数(NDWI)、改良型正規化差分水指数(MNDWI)、正規化差分植生指数(NDVI)を算出し、『数値地図5000(土地利用)中部圏2003年』(国土地理院)の水田のメッシュにおけるそれらの値および撮影日間の差から水田の状態を分類した。多くは麦畑と考えられる冬作は愛知県の飛島村、旧・弥富町、旧・十四山村に多く分布し、収穫後の6月以降に田植えされない農地も飛島村と旧・十四山村には広く見られた。6月下旬には木曽川下流部の旧・弥富町や三重県木曽岬町の水田では中干しをしていると推定される水田が多く見られた。


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