| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-249  (Poster presentation)

花の混植による送粉者誘引効果の検証
Effect of companion planting on pollinator visitation.

*平岩将良(農研機構・生物研), 岸茂樹(農研機構・農情研), 前田太郎(農研機構・生物研)
*Masayoshi HIRAIWA(NIAS, NARO), Shigeki KISHI(RCAIT, NARO), Taro MAEDA(NIAS, NARO)

同所的に生育する植物種間には送粉者を巡る競争(送粉者の奪い合い)だけでなく、送粉者を介したfacilitationが存在することが知られている。facilitationのメカニズムは様々で、多くの送粉者を誘引する花の近くで開花することによる訪花頻度の増加(マグネット効果)や、同所的に開花することによるディスプレイサイズの増加などがあげられる。近年、送粉者が減少し、農作物に安定的に送粉者を供給する技術が求められている。facilitationの効果は、受粉に送粉者が必要な農作物の生産に応用可能かもしれない。そこで本研究では、多くの送粉者を誘引する花(送粉強化植物)を作物と混植することにより、作物の訪花頻度を増やすことができるのか検証を行った。
実験は2019年8月に茨城県つくば市の実験圃場で行った。カボチャのみを植えた区(無処理区)とカボチャと送粉強化植物(ゴマ・バジル)を混植した区(強化植物区)を3区画ずつ作成し、訪花頻度の比較を行った。
その結果、無処理区と比較して強化植物区では、圃場全体の訪花頻度が増加し、カボチャ1花あたりの訪花頻度も増加した。この傾向はカボチャの花が少ない場合に特に顕著であった。これらの結果から送粉強化植物を作物と混植することは、作物の送粉の安定化に有用であることが示唆された。今後は送粉強化植物を植える量や位置についてさらなる検討が必要である。


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