| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-293  (Poster presentation)

広域分布するモミジイチゴの表現型可塑性と遺伝的分化 【B】
Phenotypic plasticity and genomic divergence in Rubus palmatus at their extreme environments 【B】

*三村真紀子(岡山大), 國武久登(宮崎大), 今西弘幸(秋田県立大), 高橋颯太(玉川大)
*Makiko MIMURA(Okayama Univ.), Hisato KUNITAKE(Miyazaki Univ.), Hiroyuki IMANISHI(Akita Prefectural Univ.), Sota TAKAHASHI(Tamagawa Univ.)

広域に分布する多年性植物種は、多様な環境に局所的に適応あるいは可塑的に応答していると考えられる。グローバルなパターンでは、平均年温度と葉形態に関係性が見られるが、こうした変異は種内にも見られることがある。本研究では、日本に広域分布するモミジイチゴを用いて、種内の形質的・遺伝的変異と気象環境の関係性を調べた。東北・南関東・南九州から採集した計60個体について、遺伝的集団構造を解析するとともに、株分けした個体をそれぞれ秋田県・東京都・宮崎県の圃場で栽培し、相互移植実験を行なった。ddRAD法による遺伝的集団構造の解析では、南九州集団が最も他の集団と分化が深く、地域によって異なる遺伝的な集団構造を持っていた。また、どの地域集団も東北環境では葉重量当たりの面積(SLA)が一様に増加し、低温環境に対する可塑的な応答が見られた。一方で、葉形態(鋸歯の深さと縦長比)は遺伝的な応答を示し、北方集団の葉形態は鋸歯が深く丸くなる傾向があった。低温地域ほど鋸歯を持つ種の割合が多くなるというグローバルなパターンと遺伝的に決定される種内変異が一致する傾向にあった。


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