| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-403  (Poster presentation)

高等学校の探究学習における県指定天然記念物の樹木の調査
Survey of trees designated as prefectural natural monuments in inquiry-based learning at high school

*中元崇博(鳥取県立八頭高等学校)
*Takahiro NAKAMOTO(Yazu High School)

 新しい高等学校学習指導要領(平成30年3月30日告示)では探究的な学習の重要性が強調されている。教科・科目の構成をみても,各学科に共通する教科として「理数科」(「理数探究基礎」及び「理数探究」の2科目で編成)が新設されている。また,現行の「総合的な学習の時間」は「総合的な探究の時間」と名称が変更されている。これまで高等学校の理科教育においては探究的な学習として「課題研究」がスーパーサイエンスハイスクールや理数科設置校を中心に取り組まれてきた。その成果は着実に蓄積されてはいるものの,未だ十分であるとはいえない。そこで本実践では鳥取県指定の天然記念物の樹木の調査を行い,高等学校「生物」(植生・生態学分野)における探究学習の実践の蓄積に寄与することを目的とした。
 授業実践は本校の学校設定科目「探究ゼミ」(第2学年の一部・1単位)の中で行った。調査は2019年8月5日・7日・9月5日・12日に実施した。調査の対象は県指定天然記念物の樹木のうち本校周辺(鳥取県八頭郡八頭町及び鳥取市河原町)の7か所とした。調査の項目は樹高及び胸高における幹周りとした。調査結果についてはポスターに示す。そして,今回の調査で得られたデータと公的なデータ(県文化財課による調査結果及び案内板に表示されているデータ)との比較を行った。公的なデータにはやはり古いものが多く,今回の調査結果と大きく異なるものもあるため,定期的なデータの更新が必要であることが明らかとなった。
 本実践を通して,植生・生態学分野での探究学習の実践の蓄積に寄与することができた。実践上の課題としては調査に要する時間の保障,移動経費の予算確保,生徒の安全確保等があげられる。また,探究学習における生態学的なアプローチの深化は今後の研究課題である。


日本生態学会