| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-421  (Poster presentation)

環境DNAから見た淀川におけるコクチバスとチャネルキャットフィッシュの分布
Distribution of smallmouth bass and channel catfish in Yodo River: evaluation using environmental DNA

*山本義彦(大阪環農水研・多様性, 神戸大院), 本郷真理(龍谷大院), 山中裕樹(龍谷大), 源利文(神戸大院)
*Yoshihiko YAMAMOTO(Biodiv. C. Osaka, Kobe Univ.), Masamichi HONGO(Grad Sc, Ryukoku Univ.), Hiroki YAMANAKA(Ryukoku Univ.), Toshifumi MINAMOTO(Kobe Univ.)

淀川は大阪府を流れる河川で、イタセンパラやヨドゼゼラといった絶滅危惧種が生息し、大阪府レッドリスト2014では生物多様性ホットスポットとしてワンド群がAランクに掲載されている。近年、イタセンパラ等の保全のために一部のワンドの環境改善や外来魚類の防除が進められ、イタセンパラのみならず在来魚種数の増加が報告されている。しかしながら、本流では特定外来生物であるコクチバスとチャネルキャットフィッシュが、2012年に新たに確認されている。生態系の新たな脅威となり得るこれら2種の分布を広域的に把握するため、上流側は木津川、宇治川、桂川のそれぞれが淀川に合流する地点から、下流側は淀川大堰までの約27kmの区間で、97地点(本流34地点、ワンド63地点)の河川水を対象に環境DNA分析を行った。分析はリアルタイムPCRを用いたTaqManプローブ法による種特異的な検出系を用いた。ワンドについては、採水時に本流との接続の有無について目視確認した。
その結果、コクチバスの本流での検出率は70%、ワンドでは52%であった。チャネルキャットフィッシュは同様に32%、13%であった。両種とも本流の調査区間の上流から下流にかけて広い範囲で検出された。また、ワンドで検出されたのは全て本流と接続しているワンドであり、本流から隔離されたワンドには2種は生息しないか、もしくは生息がわずかで環境DNAの検出ができなかったと考えられる。しかしながら、増水によりワンドが冠水すれば、本流から容易に侵入することが懸念される。そのため、在来魚の保全の対象となっているワンドにおいては、環境DNAを用いたモニタリングにより侵入を早期に把握し、防除対策を実施することが重要である。


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