| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-01  (Poster presentation)

閉鎖的な南宮山におけるニホンジカの生息密度推定
Sika deer density estimation in the closed Mt. Nangu

*浦野愛菜, 上本歩美, 中村真宙(岐阜県立不破高等学校)
*Mana URANO, Ayumi UEMOTO, Mahiro NAKAMURA(Fuwa High School)

近年,ニホンジカの分布域拡大や生息数の増加が全国的に起こっており,農林業被害や森林生態系への影響の拡大・増加が懸念されている.本校は岐阜県の西部に位置する南宮山の山麓に立地している.南宮山は,その周辺を迂回するように鉄道や主要幹線道路が通っているため近隣の山々とは独立した閉鎖的な環境にあるといえる.本研究ではカメラトラップ法を用いて得た写真からデータベースを構築し,REM法による推定生息密度等の統計処理を行った.また,カメラトラップ法によって得られた各区画の撮影頻度と,下層植生衰退度(SDR)調査の結果と比較することで,ニホンジカによる植生への影響について考察した.本研究から,南宮山におけるニホンジカの推定生息密度の季節変動が明らかとなった.今後もデータを蓄積していけば,流入出の影響以外のニホンジカの増減(自然死,有害鳥獣捕獲,猟期捕獲や出産等)の季節変化と経年変化をより明確にすることができる.SDR調査の結果とシカの撮影頻度に大きな相関があるとは言えなかった.SDR調査の結果とシカによる植生への影響は時間的なズレがあることが考えられるため,継続的に調査し,経年的な変化から生態系被害と撮影頻度の相関性を明らかにしていきたい.ニホンジカの個体群を維持しつつ,森林生態系を保全する最適な管理方法の指標を提案できるように長期にわたって調査を継続していきたい.


日本生態学会