| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-53  (Poster presentation)

植物の生理学的特性に着目した混植の効果~生態系サービス型屋上緑化技術の提案~
The effects of physiological traits of plants on the impact of companion planting for the contribution to ecosystem services on green roofs

*池末遥香(小松川高等学校), 篠原咲希音(東大附属中等教育学校), 五十嵐広朗(小松川第三中学校)
*Haruka IKEMATSU(Komatsugawa High School), Sakine SHINOHARA(Secondary School of U Tokyo), Hiroaki IGARASHI(Komatsugawa 3rd J. H. School)

条例等の施行から、都市域では屋上緑化の普及が進んでいる。特に、薄層土壌を用い、最低限の潅水のもとで緑化を施す粗放型屋上緑化は、建築物の荷重制限やコスト面から近年注目されている。一方で、粗放型屋上緑化では耐乾燥性が求められることから、導入可能な植物種の僅少さが課題となっている。屋上緑化による生態系サービス向上のために多様な植物種の導入が求められることから、植物の生育を良好に保つ栽培技術の開発が期待されている。セダムの混植は、土壌水分の増加により他種の生育を良好に保つことが知られているが、そのメカニズムや環境依存性については詳細に解明されていない。本研究では、混植するセダムの土壌被覆量の多さに加え、生理学的特性であるCAM型光合成による蒸発散の抑制が他種の生育に正の効果を及ぼすと仮説を立て、植物種に依存する混植の効果の違いを検証した。
訪花昆虫の蜜源となり、生態系サービス向上が期待されるレモンバームを対象とし、光合成型および土壌被覆量の異なる4種の植物種(セダム、オカヒジキ、タイム、タマリュウ)との混植実験を行った。屋上部での3ヶ月間の栽培期間中は土壌水分量、保水量を継続的に測定し、その後は植物体の乾燥重量を測定した。
栽培実験の結果、セダムを混植した場合のみ単植時と比較して土壌水分量が高く、レモンバームの生育が良好に保たれていた。また、この傾向は栽培開始から3ヶ月後の8月に最も顕著にみられた。一方で、C3型、C4型光合成を行う植物種においては、土壌被覆量に依らず混植による正の効果はほとんどみられなかった。
以上の結果より、セダムの混植による正の効果は、セダム特有のCAM型光合成による土壌水分量の増加に依存しており、乾燥ストレスの高い時期に顕著にみられることが示された。また、土壌被覆量に加えて光合成型に注目して混植種を選定することで、多様な植物種を粗放型屋上緑化に導入できる可能性が示唆された。


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