| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S05  3月5日 9:30-12:30 Room I

適応進化の永続性パラダイム4 -死んだらおしまいよ、滅びないうちが花なのよ党宣言-
Eternal principle4 -Persistency overcomes natural selection-

長谷川英祐(北海道大学大学院農学研究院)
Eisuke HASEGAWA(Graduate School of Agriculture, Hokkaido University)

 生物の適応進化は、瞬間増殖率最大化というダーウィンが提唱した自然選択説により説明されている。しかし、自然選択のみで単独の遺伝タイプの進化が進むと、有限資源環境下では最終的に資源枯渇による絶滅に到ると考えられる。しかるに、実際の生物は40億年間遺伝ラインを継続させており、自然選択による過適応の結果としての絶滅を回避する何らかのシステムがあると考えられる。生物は必ず何らかの資源に依存して、生活、繁殖を行っており、その資源を枯渇させるような適応は、自然選択により進化するが、そうなった者は絶滅して淘汰されるので、資源との依存関係を破壊しない生態パラメータまでしか自然選択による適応は進まない、と考えられる。絶滅を考慮した「幾何平均適応度」のような適応度概念の再定義も行われているが、これは、「増殖率」という枠組みの上位パラダイムとして「絶滅しない」という原理があることを追認しているに過ぎない。また、依存資源が生物の場合、「喰う-喰われる」の関係でも、捕食者が被食者を食い尽くすことも、被食者が捕食者から完全に逃げ切ることも、両者の絶滅を招くのでやはり互いを存続させるパラメータになっているだろう。本シンポジウムでは「生物間関係」ひいては「群集内の生物関係」がどのような場合に永続し、どのような場合に崩壊するかを個体ベースシミュレーションモデルで検討した結果を報告すると共に、アブラムシ-アリの共生を中心とした小生物群集で、どの参加者にとっても、増殖観点ではなく永続観点から、すべての関係がWin-Winになっている例を紹介し、自然界に生物多様性が存在する理由、また、それを実現するパラダイムはなにか、について議論したい。

[S05-1]
群集は永続性の夢を見るか? *小林和也(京都大学), 長谷川英祐(北海道大学)
Do communities dream of eternality. *Kazuya KOBAYASHI(Kyoto University), Eisuke HASEGAWA(Hokkido University)


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