| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S09-6  (Presentation in Symposium)

現場の保全とデータをいかにつなげるか:地域の現場で求められるデータ活用とは
Connecting conservation activities and monitoring data -How to apply the data to local activities-

*後藤なな(日本自然保護協会)
*Nana GOTO(NACS-J)

モニタリングサイト1000里地調査(以下、里地調査)は、環境省事業として全国規模での里地生態系の観測を目的とするとともに、地域の市民が自ら調査をし、その調査結果を活かして地域の自然保護を実現する「市民調査」として実施してきた。これまでに、それぞれの調査サイトでは、地域住民に対する教育普及活動や、行政施策へのデータ活用、環境改変行為に対する交渉や調整など、地域の市民が主体となった調査データ等の様々な活用事例が生まれてきた。これは、重要な里山の自然環境を隅々まで熟知した市民調査員が各地域に存在することが、地域の生物多様性保全を進めいく上で非常に重要であることを示している。一方で、里地調査において、活用事例を生み出しているサイトは一部に限られており、調査データ等の活用には多くの障壁が存在する。さらに、各地域での生物多様性保全をより広く展開していくためには、市民調査員や各地域の自然環境を熟知した主体が、従来の活動地に留まらず、地域における多様なセクターとより連携していくことが重要となる。
本発表では、総合討論に向けた話題提供として、まず、里地調査において、地域の現場でデータ等を生物多様性保全に活かした特徴的な活動事例を紹介する(例:京都府のサイトでの調査結果を活かし事業者と協働した草地保全活動、能登地方のサイトでの調査を基に地域の自然の恵みを読み解き地域資源として活用する取組み 等)。次に、現場でのデータ活用における障壁を解消するために、市民調査員が抱くデータ等の活用に対する課題を紹介しながら、地域の現場と科学者との伴走のあり方や、より一般的に誰もが活用できる調査結果の読み解きツールの開発等といった、科学コミュニティとの連携について提案する。


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