| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S13-6  (Presentation in Symposium)

AsiaFluxデータと衛星データを利用したデータ駆動型陸域CO2フラックス広域推定の進展
Progress of data-driven terrestrial CO2 flux estimation using remote sensing & AsiaFlux data

*市井和仁(千葉大学)
*Kazuhito ICHII(Chiba Univ.)

陸域生態系のCO2等の物質循環を把握することは、正確な温室効果ガスの濃度の推定やパリ協定におけるグローバルストックテイクなどにも重要である。近年はAsiaFluxやFLUXNETなど観測ネットワークが充実し、より多くのデータがコミュニティに利用できるようになったことや、衛星リモートセンシングなどの技術も進み、より多くの地表面物理量プロダクトが利用できるようになってきたことなどもあり、より多くの観測データに基づく推定が可能になってきた。これらを利用したデータ駆動型(data-driven)の広域推定が可能になっている。
しかしながら、今回のセッションの主題である「土壌炭素動態」に関しては、様々な課題を抱えており、例えば土壌呼吸の広域推定は十分には実現されていない。土壌呼吸の広域推定については、統計モデルによる手法やプロセスモデルによる手法などいくつか提案されているが、既存の土壌呼吸のデータベースでは異なる観測方法が混在していること、連続的な土壌呼吸の観測が難しく、主には年間値で推定されていることなど観測データベースに多くの問題を抱えていた。
我々のグループでは、国立環境研究所グループによる統一された観測手法によるアジア域のチャンバー観測ネットワークを利用し、衛星データと機械学習を用いることで土壌呼吸の広域推定を試みている。本発表では、(1)AsiaFluxやFLUXNETデータベースと衛星観測データを利用して機械学習法を適用することによるCO2フラックス(総一次生産量、生態系CO2交換量)推定手法の紹介と、(2)土壌呼吸ネットワークと衛星観測データと機械学習を用いた最新の試みに関して紹介したい。


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