| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W07  3月4日 17:00-18:30 Room J

多種の同時推定で広げる 分布推定モデルの地平  ~Joint SDM入門~
Expanding species distribution modelling by joint analysis of multiple species

石濱史子((国研)国立環境研究所)
Fumiko ISHIHAMA(Nal. Inst. Env, Studies)

種の分布推定モデル(生態ニッチモデル)は、生物種の分布地点とその環境条件の対応関係から、分布域全体を推定しようとする統計的手法である。生息条件の解明、外来種の分布拡大予測、古気候に基づく過去分布推定など、幅広い分野で応用が進み、技術的には確立したように見える。

しかし分布推定モデルは通常、1種単独で構築されるため限界があった。例えば、種間相互作用は生物の分布を規定する主要因の1つだが、組み込めない。種ごとの結果を足し合わせて種多様性を推定すると、過大になる。希少種1種では情報不足で解析困難だが、希少種の種数は膨大で、積み重ねると無視できない情報量を捨てている。また、利用できる環境変数が広域的に観測しやすい気象等に限られることが多い。さらに生態特性など分布以外の様々な情報を反映できない。

こういった限界、利用できなかった情報を活用する道を開く可能性があるのが、多種の同時分布推定モデル(Joint Species Distribution Model)である。種間相互作用の推定、隠れた環境変数の存在の検出、種数の推定精度向上などが期待されている。多種を扱うため、計算負荷やモデル構築の困難さが課題だったが、近年の手法開発・パッケージ提供によりそれも軽減されつつある。
本集会では、JSDMによる解析の実例、パッケージ紹介等を通じて、Jointすることで広がる分布推定の地平を皆さんと共有したい。

趣旨説明:石濱史子(国環研)

コメンテータ:熊谷直喜(国環研) 主に種間相関の推定に関して

事例1:深谷肇一 (国環研) 同時モデリングから予測される種個体数の地理的分布:反復された局所悉皆調査の重要性

事例2:丹野夕輝(静岡大, (株)エコリス)ほか

事例3:Kim Jiyoon ・西廣淳 (国環研)

最新情報は下記Webページに掲載
https://sites.google.com/view/jsdmesj67/

[W07-1]
半自然草地の草本の分布を決定する要因ー多変量プロビットモデルによる推定 *丹野夕輝(静岡大, (株)エコリス), 山下雅幸(静岡大), 澤田均(静岡大)
Factors determining spatial distributions of plants in semi-natural grasslands - Estimates using a multivariate probit model *Yuki TANNO(Shizuoka Univ., Ecoris Inc.), Masayuki YAMASHITA(Shizuoka Univ.), Hitoshi SAWADA(Shizuoka Univ.)


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