| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W08-2  (Workshop)

国際長期生態学研究ネットワーク(ILTER)をどのように活用できるのか?
How can you utilize International Long-Term Ecological Research Network (ILTER)?

*柴田英昭(北海道大学)
*Hideaki SHIBATA(Hokkaido University)

ILTERとは何だろうか?そして私たちはILTERをどのように活かすことができるのだろうか?
LTER(Long Term Ecological Research:長期生態学研究)とは拠点となる研究サイトにおいて長期的な調査・観測データに基づき、様々な生態学的研究を展開する仕組みである。ILTERは日本をはじめ各国に組織されているLTERネットワークの国際組織で、現在は44ヶ国、800サイト以上の研究サイトが登録されている(https://www.ilter.network/)。そして、生物多様性、動植物動態、養分循環、生態系機能、生態系サービス他の多様な研究分野について、ILTERを舞台とした国際共同研究が進行中である。時間的・空間的に大きな変動を有する生態学的な現象についての理解を深めるためには、頑強なデータセットを活用した解析が有効であり、ILTERを利用した共同研究の提案が可能である。最近ではメタ解析や総説論文など、ILTERレベルでの研究成果も増えつつある。また、日本の生態学者によるILTERでの研究や運営への参画機会も増えており、さらなる研究や教育への活用も可能な条件が整ってきた。
一方で、国内での個人で行う研究と異なり、国際的な共同研究を行う際には様々なことが障壁となり得る。データベースの不十分さ、研究資金の不足、リーダーシップとコミュニケーション力の必要性など、ILTERに限らず国際共同研究に共通した多くの課題も見受けられる。自由集会ではILTERが有している地球規模での生態系観測に関する事例やポテンシャルを紹介すると共に、さらなる研究の推進に向けて集会の参加者と議論することを望む。


日本生態学会