| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W14  3月7日 17:00-18:30 Room C

間接効果を通して見る世界:(3)生物個体から見た間接効果の「ごりやく」
Novel ecological perspectives arising from indirect effects: How indirect effects contribute to understanding of ecology and evolution of behavior?

大串隆之(京都大学生態学研究センター), 辻和希(琉球大学)
Takayuki OHGUSHI(Center for Ecological Research, Kyoto University), Kazuki TSUJI(Universityt of the Ryukyus)

 「間接効果」は、あらゆる生態システムで主役を演じている。栄養カスケードや見かけの競争は、生物群集や食物網を語る上で今や避けては通れないキーワードになった。一方、種内の個体間関係でも間接効果はキープレイヤーだ。たとえば、包括適応度は遺伝的な間接効果そのものだ。また、現在、台頭しつつある生態進化ダイナミクスの発展に、間接効果の考え方は欠かせない。さらに、社会科学、経済学、文化人類学、遺伝子ネットワークの分野でも注目され始めた。このように、生態学の枠を超えて幅広い分野でホットな話題を提供している、それが「間接効果」だ。日本の生態学がこの世界の学際的激流に飲み込まれ溺死しないうちに、サーファーよろしく大波を捕らえて中天高く舞い上がろうではないか。それには、「間接効果」との出会いの場が必要だ。それがこの自由集会である。ここでは様々な分野の研究者に間接効果との出会いや自らの研究を通して体験した間接効果の「ごりやく」を披露してもらう。
 今年は生物個体から見た間接効果の「ごりやく」だ。生き物は競争、摂食、防衛、配偶、子育てなどさまざまな行動を通して他の個体と繋がりを持っている。このような行動の生態や進化を、適応度という窓を通して鑑賞するのが行動生態学の醍醐味である。今回は種内関係という世界に分け入って、間接効果を探す旅に出かけよう。生き物の多彩な振る舞いを生み出す二者の関わりが第三者によってどう変わるのだろう。種間関係から転じて、個体間の間接効果に目を移した時に、どんな世界がわたしたちの前に広がっているのだろうか?

1. はじめに
 大串隆之(京大•生態研)
2. 巣仲間認知、ポリシング、社会免疫 ー 血縁選択理論で群集を理解する
 辻和希(琉球大・農)
3. 動物—植物相互作用における種内相互作用の間接効果
 山尾僚(弘前大・農)
4. 学習を介した種内の間接効果の進化的、生態的帰結
高橋佑磨(千葉大・院・理)


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