| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) A01-09  (Oral presentation)

3次元空間における植物葉面再構築と輪郭形状解析 【B】
Leaf surface reconstruction and outline shape analysis in 3D Euclidean space 【B】

*野下浩司(九州大学)
*Koji NOSHITA(Kyushu Univ.)

 対象の3次元的な形態情報を得るための技術・ツールの一般化が進んでいる.X線CTによる3次元ボリュームデータ,LiDARやStructured lightを利用した3次元表面データ,深度カメラによる2.5Dデータ,あるいは2次元画像の集合から3次元表面を再構築するStructure from Motion(SfM)及びMulti-view stereo(MVS)など様々な選択肢がある.しかし,こうして得られた3次元データそれ自身を表現型として解析することは通常難しい.何らかの情報抽出プロセスを経て生物学的に意味のある情報を引き出さなければならない.

 例えば,対象の「かたち」の一側面である「形状」を過不足なく定量化するための理論・技術体系として幾何学形態測定学が発展してきた.楕円フーリエ解析などを利用することで2D/3Dの閉曲線の形状の定量化が可能である.しかし,3次元的な閉曲線が定量化されるケースは少なく多くは2次元平面へ投影されたものの定量化で代替される.

 本研究では,植物の葉の形態測定学的解析を目指し,3次元空間中で計測された輪郭データを解析するための定量化方法とその形態的解析方法を提案する.写真測量技術を活用し3次元空間中に再構築された葉面と輪郭をそれぞれB-スプライン曲面とB-スプライン曲線でモデル化し,その計測データを曲面の幾何学的性質の抽出と楕円フーリエ解析により形態データとして定量化する.さらにその結果を2次元平面に情報を保存したまま投影する可視化方針を示す.単純な曲面/曲線で近似できる葉面/輪郭以外の特徴を含めた形態学的解析についても議論したい.


日本生態学会