| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) C03-04  (Oral presentation)

国立環境研における外来生物・農薬・感染症リスク研究最前線 【B】
Frontiers in Study on Invasive Species, Neonics, and Infectious Disease Risk at National Institute for Environmental Studies 【B】

*五箇公一(国立環境研究所)
*Kouichi GOKA(NIES)

国立環境研究所では生態リスク評価研究プロジェクトとして、外来生物および農薬の影響評価を進めるとともに、近年、新興している野生生物感染症の感染拡大プロセスおよび生態リスクの解明、及びこれらの要因による影響の管理手法の開発を進めている。今年度までの5ヵ年計画において、外来生物対策については特定外来生物ヒアリ・ツマアカスズメバチなど非意図的外来生物の早期発見技術、水際防除手法、および定着ステージにおける防除手法の開発を進めながら、環境省および自治体と共同で、日本各地の侵入個体群の駆除事業を実施してきた。農薬リスク管理においては、ネオニコチノイド農薬による野生昆虫群集に対する影響実態を調査するとともに、農薬の生態リスク評価手法の高度化を図り、農薬取締法など国内の農薬リスク管理システムに実装することを推進してきた。野生生物感染症対策として、全国の鳥インフルエンザおよび豚熱検体調査における中核機関を担い、感染ルートのサーベイランスを強化するとともに、気候危機を含めた環境変動を考慮した病原体ウイルスの感染リスク予測を試みてきた。またマダニ媒介感染症SFTSについて、マダニ類のDNA情報および感染状況に関する調査を行い、分布拡大・生態影響予測を進めてきた。さらに、マダニ緊急防除用の薬剤試験を実施した。新型コロナの流行を受けて、OIEや国立感染症研究所などと共同でOne Health事業展開の議論も開始し、環境省来年度予算に人獣共通感染症対策予算も組み込まれた。以上の成果概要を報告する。


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