| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-130  (Poster presentation)

鳥類翼形態と機能の関係:飛翔の安定性に着目して 【B】
The flight stability and the wing morph in birds 【B】

*姜雅珺(千葉大・院・理), 村山友太(千葉大・院・工)
*Yajun JIANG(Grad. Sci., Chiba Univ.), Yuuta MURAYAMA(Grad. Eng., Chiba Univ.)

鳥類の翼は単一起源の形質であり「飛翔」という基本的な機能をもつが,その形態は種によって極めて多様である。このような形態や機能の違いは、それぞれの種の生息環境や飛翔方法に対応すると予想される。鳥の翼の空気力学的特徴に種間で著しい相違があるが、とくに、飛翔において羽ばたきの際の「抵抗」をいかに軽減するかが重要であることが示唆されている。飛行機やドローンなど人工飛行体と比較したとき、鳥類など自然の飛行体の最大の強みは、墜落しないこと、つまり、撹乱に対する強度な頑健性である。このような飛行の安定性をもたらす機構として、鳥の翼表面のラフな構造が境界層剝離を防いでいることを示されている。そこで本研究では,風環境の撹乱に対する翼機能として、既存の標本を用いて体や翼の形態を測定したうえで、翼の安定性を評価して、生息環境との対応を解析する。各種鳥類について,翼の形態計測と風洞実験による機能測定を行った。定常状態と風洞中に空気の流れを妨げる板を設置して振動させる撹乱条件でそれぞれ測定をおこない、異なる撹乱条件への翼機能の反応を評価した。ここで翼機能の安定性を、撹乱下での揚力/抗力と定常時の揚力/抗力の差を、撹乱に対する「反応性」の指標とし、 撹乱下での揚力と撹乱下の抗力の差を「飛翔継続性」とし、揚力、抗力それぞれの時間変化の標準偏差を「安定性」として評価した。線形混合モデルにより、生息地の違いが撹乱の揚力への効果に影響することが確かめられた。さらに、撹乱の揚力への効果に加えて、「安定性」に対して、翼先端のスロット構造(wing tip slot)が影響することが示された。これらの結果は、鳥類が乱流あるいは撹乱を巧みに利用して、揚力を得ており、これが、非常に高い飛翔の安定性に関係していることを示している。


日本生態学会