| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-397  (Poster presentation)

北海道胆振東部地震で発生した表層崩壊地における植生回復と地域資源活用緑化
Revegetation restoration and greening of local resource utilization in the collapsed area caused by the Hokkaido Eastern Iburi Earthquake

*山田夏希(北海道大学), 森本淳子(北海道大学), 孫田敏(有限会社アークス), 福田尚人(有限会社開成舎), 中村太士(北海道大学)
*Natsuki YAMADA(Hokkaido univ.), Jyunko MORIMOTO(Hokkaido univ.), Satoshi SONDA(ARCS Co.,Ltd.), Naoto FUKUDA(Kaiseisya Co.,Ltd.), Futoshi NAKAMURA(Hokkaido univ.)

2018年の北海道胆振東部地震では、大規模な表層崩壊による林地崩壊が発生した。崩壊発生後の山腹工事で使用される緑化処理は、従来の外来草本を用いた急速緑化から、郷土種を用い、地域生態系の保全や森林の多面的機能を重視した処理へ転換されつつある。本研究では北海道胆振東部地震で発生した表層崩壊地において、現地の地域資源を用いた木柵工と郷土種を利用した山腹緑化の有効性を評価することを目的とした。緑化に当たってはSDGsに配慮し、地域住民も参加した。調査地は北海道安平町早来である。調査区は鹿柵、木柵工、緑化植物(郷土種の木本5種、草本2種)、自然侵入促進工を組み合わせた処理と手を加えないコントロールの、6種類の処理を用意した。区画のサイズは1.5 m×1.5 mで、各処理あたり6反復設置した。調査区は2019年の秋に設置し、2020年の秋までの一年間調査を行った。緑化植物は調査地の郷土種から選定を行い、調査地周辺の山取り苗もしくは札幌で採取した種子を育成した苗を使用した。自然侵入促進工はロンケットオーガ(藁素材)とヤシマットを用いた。結果は以下である。シカは、崩壊地にまばらに生えた実生より周辺の植物を好んで採食した可能性があり、鹿柵の効果は認められなかった。木柵工により傾斜が緩和され、侵食による種子の流出が抑制した可能性があり、木柵工背後平坦部には種子サイズの大きい植物が多く認められた。郷土種の緑化植物を植栽すると植栽していない区画と比較して植被率は高くなる傾向があり、初期緑化を迅速に進めるには、緑化植物が有効であると考えられる。また、用いた緑化植物の成長、活着率はいずれも良好であり、地域性の郷土種を用いたことで 移植後の環境の違いによるストレスが低く抑えられた可能性がある。さらに、郷土種の緑化植物は、自然侵入の植物の侵入を阻害しなかった。。自然侵入促進工の土壌流出量は他の処理と比較して少ない傾向があり、侵食防止効果があった。


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