| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-052  (Poster presentation)

新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言がツバメの営巣に及ぼした影響 【B】
Effects for breeding of Barn Swallow (Hirundo rustica) by COVID-19 lockdown 【B】

*WATANABE HITOSHI(Tokyo Metropolitan University, Tokyo Biodiversity Center), OSAWA TAKESHI(Tokyo Metropolitan University)

 人間活動により動物への様々な影響があることはよく知られているが、現在の人工的な景観における動物の行動は、人工的な構造物の影響を受けているのか、それとも人間の存在の影響を受けているのかを解明するのは難しいとされていた。
 2020年のCOVID-19のパンデミックにより、日本を含む世界中の多くの国がロックダウンを行い、人間活動が劇的に減少した。Christian Rutz et al.(2020) は、この人間活動の中断についてanthropauseという新語を提案するとともに、anthropauseは、景観や人工構造物はそのままで人間活動だけが減少するため、人間と野生動物の相互作用を解明する手がかりを与えてくれる機会となる事を指摘している。
 発表者は、anthropauseを利用して、人間の活動が動物にどのような影響を及ぼすかの事例を研究するために、人間が直接的及び間接的に作り出した生息環境を利用する代表的な鳥類であるツバメ(Hirundo rustica)について、緊急事態宣言下の関東地方の道の駅への営巣状況を調査した。緊急事態宣言は、2020年4月7日~5月25日に発出され、不要不急の人の移動等が制限された。この期間はツバメの繁殖期に当たる。調査対象とした道の駅はツバメが営巣環境として利用している事が多く、また主に観光地に整備されていることから全面閉鎖や一部閉鎖により人の利用が減少した施設が多かった。本発表では、これらの道の駅における例年と緊急事態宣言下のツバメの営巣状況を定量的に比較する事で人の活動がツバメの営巣に及ぼす影響を検討する。


日本生態学会