| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-226  (Poster presentation)

侵入害虫アザミウマの低温耐性に基づく越冬可能地域の推定
Estimate of  overwintering area based on low temperature tolerance of invading pest Thrips

*古木隆寛, 中尾史郎(京都府立大学)
*Takahiro FURUKI, Shiro NAKAO(Kyoto Prefectural University)

 日本に侵入した農業害虫が定着できるかには野外での越冬可否が重要である。休眠性のある侵入昆虫は前適応的に日本の野外でも越冬が可能である可能性が高い。しかし、休眠性のない侵入昆虫は日本での越冬可否が地域によって異なることがある。これは、種ごとに耐寒性が異なるためである場合が多い。これまで、非休眠性アザミウマの耐寒性について、ミナミキイロアザミウマ Thrips palmi がマイナス5℃で3〜5日しか生存できないのに対し (McDonald, 1997)、ミカンキイロアザミウマ Frankliniella occidentalis ではマイナス5℃で約10日間生存することが知られている (積木ら, 1987)。わが国でミナミキイロアザミウマは沖縄県でのみ野外越冬しているが、ミカンキイロアザミウマは西日本広域で野外越冬している。このことは、マイナス5℃での生存日数から、日本各地での野外越冬の可否を判定できることを示唆する。
 本研究では日本に侵入している非休眠性のアザミウマ6種(ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマ Thrips tabaci、ミカンキイロアザミウマ、ウスグロアザミウマ Frankliniella fusca、モトジロアザミウマ Echinothrips americanus、クリバネアザミウマ Hercinothrips femoralis)のマイナス5℃での生存日数を調査し、日本各地の秋季から春季までの気温と照会して、野外越冬可能な地域の推定結果を発表する。


日本生態学会