| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-14  (Poster presentation)

飼育下でのカワムツとヌマムツの密度と攻撃行動の関係
Relationship between the densityand attacking behavior of Nipponocypris sieboldii and Nipponocypris temminckii in the fish tank

*三浦萌香, 島田蒼空, 堀田菜葵(県立宝塚北高等学校)
*Moeka MIURA, Sora SHIMADA, Natsuki HORITA(Hyogo Pref. Takarazuka kita HS)

我々は三田市藍本武庫川上流で採集したオイカワやカワムツを飼育している。このうちカワ ムツでは成魚から産卵された卵から幼魚が孵化し、飼育することになったが、飼育に適切な個 体群密度が分からなかった。そこで、飼育下での適切な個体群密度について研究を行い、カワ ムツの成魚は、個体群密度が少ないと餌を与えた後に攻撃行動を行い、個体群密度が大きい (60cm水槽では5匹以上)と餌を与えた後の攻撃行動が抑制されることが分かった。今回、カ ワムツの幼魚でも同様の攻撃行動が見られるのか、また、同じ川魚であるオイカワではどのよ うな行動になるのかを明らかにするために、研究を行った。
結果としては、カワムツの幼魚は個体群密度が減少しても餌を食べた後に攻撃行動を行うこ とがなかった。また、カワムツの幼魚1匹とカワムツの成魚1匹を混泳させたときは、カワム ツの幼魚は攻撃せず、成魚がカワムツの幼魚に対して一方的に攻撃行動を行った。また、オイ カワ2匹の混泳時、オイカワ1匹とカワムツ1匹の混泳時、いずれの場合も、カワムツ同様に それぞれの個体がお互いに攻撃行動を行った。また、時間が経つにつれて攻撃する個体と攻撃 される個体が固定化された。
以上の結果から、カワムツは幼魚のうちは個体群密度が低くても飼育上特に問題はないが、 個体群密度が低い場合は、成魚との混泳を避けるべきであると考えられる。また、カワムツも オイカワも同種のみではなく他種の川魚も攻撃対象とするため、攻撃対象として認識する機構 が存在すると考えられる。今後は、幼魚が攻撃行動を行い始める時期、カワムツやオイカワが 何を認識して攻撃行動を行うのかを研究していきたい。


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