| 要旨トップ | ESJ68 フォーラム 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


フォーラム U05  3月20日 12:00-13:30 Room C

サンゴ礁生態系の現状と未来
Current status and future of coral reef ecosystems

和田直也(富山大学)
Naoya WADA(University of Toyama)

サンゴ礁生態系は、その面積が地球表面の約0.1%を占めるに過ぎないが、そこには約9万種の生物が分布しており、「海の熱帯林」と比喩されることもある。生物多様性が極めて高く、様々な生態系サービスを人間社会にも提供してくれるサンゴ礁生態系は、地球温暖化・海洋酸性化・陸上の開発・埋め立て等の影響により、地球上で最も危機に瀕した生態系の一つでもある。世界の北限に位置している日本のサンゴ礁生態系も例外でなく、早急に保全対策を進める必要がある。自然保護専門委員会では、貴重なサンゴ礁生態系の保全を求める要望書をこれまで関係官庁等に提出してきた。しかしながら、多様なサンゴ礁生態系の構造と機能や、その豊かな生物多様性の重要性については、一般には未だほとんど知られていない。本フォーラムでは、京都大学の加藤真氏より「内湾サンゴ礁生態系における住み込み共生と多様性」として、特徴ある内湾の住み込み共生がいかに生物多様性に貢献しているかを紹介してもらう。続いて、東京経済大学の大久保奈弥氏より「サンゴの移植でサンゴ礁生態系は復元できない」と題して、サンゴ礁生態系全体の視点からサンゴの再生も含めた自然再生の可能性や生態系保全の在り方を語っていただく。最後に、富山大学の神山智美氏から「内湾性サンゴ礁生態系保護のための法制度を考える―開発抑制と水質管理」と題して、サンゴ礁生態系の埋め立て事業等の開発や内湾、内海等の閉鎖性水域の水質管理に伴う課題を、環境法の立場から提起していただく予定である。以上の話題を踏まえ、サンゴ礁生態系の現状と未来を考える。サンゴ、サンゴ礁の研究者のみならず、広くサンゴ礁生態系や生物多様性保全に関心を持つ方々の参加を期待している。

[U05-1]
内湾サンゴ礁生態系における住み込み共生と多様性 加藤真(京都大学)
Live-in symbiosis and diversity in the inland bay coral reef ecosystem Makoto Kato (Kyoto University)

[U05-2]
サンゴの移植でサンゴ礁生態系は復元できない 大久保奈弥(東京経済大学)
Coral reef ecosystem cannot be restored by coral transplantation Nami Okubo (Tokyo Keizai University)

[U05-3]
内湾性サンゴ礁生態系保護のための法制度を考える―開発抑制と水質管理 神山智美(富山大学)
A consideration on the legal system of conservation of inland coral reef ecosystems: development restraint and water quality management Satomi Kohyama (University of Toyama)


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