| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W02  3月17日 17:30-19:00 Room D

階層モデリングの実践:統計モデルを生態研究と管理・保全に活用する
Hierarchical modeling in practice: leveraging statistical models for ecological research, management, and conservation

深谷肇一(国立環境研究所), 飯島勇人(森林総合研究所), 伊東宏樹(森林総合研究所北海道支所)
Keiichi FUKAYA(NIES), Hayato IIJIMA(FFPRI), Hiroki ITO(Hokkaido Res Ctr, FFPRI)

 生態学的な調査研究では、種の分布、個体数量、種の豊かさ、およびその変化率などを明らかにすることがしばしば求められる。しかし、野外では個体の検出は不完全であることが多く、こうした数量を正確に把握することは一般に容易ではない。検出が不完全な状況では、データから推定される集団特性の値が過小評価になるだけでなく、時系列に基づく率パラメータの推定や、多地点調査に基づく要因解析においても偏りが生じてしまう。したがって、これを適切に考慮するための研究デザインと統計解析が重要となる。
 階層モデリングは、生態調査における不完全な検出を統一的に扱うことができる。本質的ではあるが計測が困難な対象(種の分布や個体数量など)を潜在的な状態変数とし、状態変数の時空間的な変動を表す部分モデル(過程モデル)と、標本抽出に伴う観測誤差を表す部分モデル(観測モデル)を連結した階層モデルを用いることで、関心のある生態的な変動と観測による付加的な変動やバイアスを切り分けることが可能となる。比較的高度な統計モデリングが必要ではあるが、現在では様々な階層モデルを容易に扱えるソフトウェアも充実してきており、階層モデリングは本格的な応用の時代を迎えていると言える。
 本集会では、生態学における階層モデリングの「実践」をテーマとして、その基礎と応用例、具体的な解析手法を紹介する。

[W02-1]
階層モデリングをデータ解析と調査設計に活用する *深谷肇一(国立環境研究所)
Utilizing hierarchical modeling for data analysis and study design *Keiichi FUKAYA(NIES)

[W02-2]
応用研究における階層モデルの有用性−野生動物の個体数推定の事例− *飯島勇人(森林総合研究所)
Utility of hierarchical model in applied ecology -the case study of animal abundance estimation- *Hayato IIJIMA(FFPRI)

[W02-3]
R,BUGS, Stanによる階層モデルのあてはめ *伊東宏樹(森林総研北海道)
Fitting of hierarchical models using R, BUGS, Stan *Hiroki ITO(Hokkaido Res Ctr, FFPRI)


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