| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W05-3  (Workshop)

地域住民と研究者の協働に向けた対話の場づくり:美山ソサエティ(仮)の試み
Designing a platform for collaboration between local stakeholders and scientists: Establishing the Miyama Society.

福島誠子(京都大学), *清水夏樹(神戸大学)
Seiko FUKUSHIMA(Kyoto Univ.), *Natsuki SHIMIZU(Kobe Univ.)

発表者らは、森と里の再生に関わる地域課題を、地域住民と研究者の協働アプローチにより解決すべく、そのためのプラットフォームづくりに取り組んでいる。
 対象地域は、観光や地域づくりの先進地として注目を集め、以前から様々な調査研究が行われてきた南丹市美山町である。はじめに、地域課題や研究者との協働について地域で話をきいた。発表者らが認識・想定していた地域課題と、その解決に向けた動きが進まない地域事情がきかれた。多数の調査協力・大学活動の受入れが地域の負担になっており、「調査公害」ともいうべき状況にあることもわかった。
 こうした状況を改善し、協働の下地を整えるため、研究成果を地域にフィードバックする場、地域住民と研究者が対話する場が必要と考えた。先進事例の屋久島学ソサエティを参考に、研究者と地域住民のプラットフォーム「美山ソサエティ(仮)」を構想した。その運営等に関する検討と対話の場の試行のため、2020年2月に「美山×研究 つながる集会」を開催した。
 集会では、短い研究紹介の後に、研究者と地域住民が少人数のグループに分かれ車座で意見交換する時間を設けた。双方の立場や考えを知る機会となり、多くの参加者から肯定的な感想がきかれた。美山ソサエティ(仮)は、研究者と地域住民を会員とする学会組織のようなものを目指していたが、地域の実情を踏まえ、会設立よりもまずは研究者のネットワークづくり、調査公害を防ぐ手立ての検討、年1回の集会開催と記録の蓄積に取り組むこととした。集会を一緒に主催した京都丹波高原国定公園ビジターセンターからは、具体的な協働提案があり、研究者が収集した美山に関する文献情報、研究者情報を、HPで検索・閲覧できる仕組みを構築できた。
オンライン開催の第2回集会(2021年2月)では、地域住民の取組みを研究者と深堀りすることで、相互の学び合いにつなげ、協働の糸口を探ることを目指す。


日本生態学会