| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-252  (Poster presentation)

北海道産セイヨウタンポポの遺伝子型および表現型の多型
Polymorphism of genotype and phenotype in Taraxacum officinale in Hokkaido

*松山周平(酪農学園大), 松本珠季(酪農学園大), 松永高広(酪農学園大), 齋藤優衣(酪農学園大), 伊東明(大阪市立大学)
*Shuhei MATSUYAMA(Rakuno Gakuen Univ.), Tamaki MATSUMOTO(Rakuno Gakuen Univ.), Takahiro MATSUNAGA(Rakuno Gakuen Univ.), Saito YUI(Rakuno Gakuen Univ.), Akira ITOH(Osaka City Univ.)

セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)(以下、セイヨウ)は北海道では稚内から函館まで全道の低地で見られるヨーロッパ原産の外来種である。日本に生育するセイヨウはアポミクシスにより繁殖すると考えられてきたが、北海道各地に生育するセイヨウのマイクロサテライト遺伝子型を分析したところ、北海道のセイヨウには複数の遺伝子型が認められた。本研究では、セイヨウのマイクロサテライト遺伝子型と表現型の関係を明らかにするため、北海道各地で採取したクローン型を異なる生育条件で栽培し、パフォーマンスの差を比較した。道内の7地点からとった個体(クローン型)由来の種子を明条件で栽培後、異なる光条件(明条件下、暗条件下)に移して栽培し、葉数、葉サイズ(個葉面積、個葉重、SLA)、地上部・地下部バイオマスを調べ、各測定値と明暗条件下の差を指標として表現型として評価し、クローン型の表現型を比較した。7地点のクローン型は複数のSSR遺伝子型に分けられた。表現型はクローン型によって異なっており、例えば、明条件の葉数は釧路、函館で多く、稚内産で少なかったが、明暗条件の差は函館で大きかったものの、釧路・稚内では中程度であった。これらは北海道のセイヨウには遺伝子型だけでなく表現型に多型があることを示唆した。ただし、葉数や葉サイズなどの表現型はクローン型間でオーバーラップがあり、道内各地に特殊化した表現型ということではないと考えられる。


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