| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) J02-04 (Oral presentation)
植物と動物の間でみられる送粉共生は自然界で広く見られる生物間相互作用の一つである。近年、花の蜜内に棲む微生物が送粉共生を変化させることが明らかになってきており、これら花蜜内微生物が農作物の収量に影響を及ぼす可能性が考えられ始めている。これまでに、一部の農作物において花蜜内微生物群集の比較や、微生物導入が訪花昆虫の誘引に与える影響は評価されているが、花蜜内微生物が作物収量に与える影響についてはほぼ未解明である。
本研究では、世界中で広く栽培されているソバを用いて、花蜜から採取された細菌Pantoea stewartiiを開花直後の花の蜜内に導入し、結実への影響を検証した。その結果、細菌の導入条件によっては、結実率が低下した。より具体的には、自然界と同程度の細菌の細胞数を導入すると結実率が低下した一方、不自然なほど多量に導入すると導入の効果は見られなかった。また、実験を行った年によっても細菌導入の効果は異なっていた。以上から、花蜜内細菌P. stewartiiはソバの結実に負の影響を持つ一方、その影響は状況依存的に変化すると考えられる。このことは、花蜜内微生物が農作物の収量に影響を及ぼす可能性を示唆している。