| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) J02-05 (Oral presentation)
微生物には、シデロフォアと称される金属イオンへのキレート作用を有する低分子有機化合物を産生する種類が存在する。重金属ストレス環境に自生する植物からは、高いシデロフォア産生能を示す糸状菌や細菌が頻繁に分離されており、それらの微生物が宿主植物の重金属耐性を高める報告がある。本研究では、重金属ストレス環境に自生するアオキから分離された内生菌 Pezicula ericae と、本菌種が産生するシデロフォア isoavenaciol に着目した。Isoavenaciol は pH に応じてラクトン環が開閉する性質を有し、重金属キレート作用が pH 依存的に変化する。また、本化合物は抗糸状菌活性を有するだけでなく、その類縁体が植物毒性を示すことから、P. ericae がアオキに感染する過程で何らかの機能を果たしていると考えられる。本研究では、各 pH 条件下における本化合物の生理活性および isoavenaciol 産生が促進される環境要因の解明を目的とした。各 pH に設定した Hoagland 培養液に一定濃度の isoavenaciol を溶解させ、被験植物を一定期間生育させた後、植物体(根、茎、葉)の新鮮重量を測定することで植物毒性活性を評価した。次に、各 pH 条件に設定した 1% malt extract 培地に一定濃度isoavenaciolを添加し、アオキの根に高頻度で感染する内生菌 Ilyonectria sp. を接種し、各 pH 下での抗糸状菌活性を調べた。さらに、重金属添加区、植物体抽出物添加区、拮抗微生物添加区を設定し、各条件でisoavenaciol産生量を評価することで、各条件がP. ericaeのisoavenaciol 産生に及ぼす影響を検討した。現在、結果は解析中である。