| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) M01-06 (Oral presentation)
大気中に浮遊する粒子状物質から多様な生物由来DNAを検出できることが近年相次いで報告されている。とくに英国において、重金属汚染物質モニタリング試料を用いた環境DNA分析により、多様な分類群の陸上生物の検出が可能であることが実証され、大気質監視インフラを利用した陸上生物多様性モニタリングへの期待が高まっている。日本においては、大気汚染防止法のもと、多地点かつ高頻度で大気質のモニタリングが行われている。本研究では、この既存の大気質監視インフラを活用した陸上生物多様性モニタリングの有効性を検証するため、大阪府および名古屋市の有害大気汚染物質モニタリングで得られた大気試料を利用し、環境DNAメタバーコーディングによる鳥類および哺乳類の網羅検出を実践した。その結果、両地域において多様な種が検出された。鳥類・哺乳類ともに、普通種だけでなく、各地域において絶滅危惧に指定されている種が検出された。また、複数の外来種も検出された。さらに鳥類においては、渡りに伴う季節的な出現パターンを捉えることにも成功した。これらの結果より、日本の充実した大気質監視インフラを活用した環境DNA分析が、新たな陸上生物多様性評価法として有望であることが示唆された。