| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-03  (Oral presentation)

外来種モンシロチョウ・アカボシゴマダラの侵入成功要因:近縁在来種を上回る比成長率
RGRs larger than those of related natural species account for successful invasion of invasive species: Case study in Pieris and Hestina butterflies

*今野浩太郎(農研機構 生物研)
*Kotaro KONNO(NARO)

外来種の中には近縁の在来種がいても侵入に成功しているものがある。どんな性質が侵入を可能にさせるのか。今野の食物網数理モデルは、同所的に存在し天敵を共有する近縁植食昆虫2種では餌植物が十分にあっても比成長率(比成長速度)(Gh、1日当たり体重当たりの体重増加率)の大きい種が小さい種を競争排除することを予想した(Konno,2016,2023)。そこで、日本で近縁在来種が存在する中で侵入した2組のペアについて幼虫期Ghを比較した。スジグロシロチョウ(在来)-モンシロチョウ(侵入)ペアに関する アブラナ科食草6種での比較では、すべての食草でモンシロのGhが大きかった。特にキャベツ(1.161vs.0.728)やコマツナ(1.129vs.0.649)など栽培蔬菜で差が極めて大きく、アオムシコマユバチのモンシロ選択的な高率寄生を考慮してもスジグロが逆転することは困難だった。一方、イヌガラシ(1.270vs.0.855)やムラサキハナナ(0.801vs.0.746)など在来植物では差が小さく、天敵存在下ではスジグロが優位に立ちうる値であった。以上モンシロチョウが高い比成長率によって蔬菜畑への侵入に成功したことを示唆した。アカボシゴマダラは近年関東に中国より人為侵入し現在では関東一帯で極めて普通に発生している。またアカボシゴマダラの本成長データをとった2017年時点でつくば市のエノキ葉上で採集した卵はすべてアカボシゴマダラであり在来種ゴマダラチョウの減少が示唆された(ゴマダラの試験は2025年偶然採集した母蝶の採卵で行った)。アカボシのエノキ葉での比成長率Gh=0.321はゴマダラの0.231より有意に高く、アカボシゴマダラがゴマダラチョウを大きなGhで競争排除していることを示唆した。以上一般的に、高い比成長率が、外来種が近縁在来種を排除し侵入に成功する重要な要因である可能性が示された。


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