| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-09  (Oral presentation)

トラップネットワークを用いた侵入害虫根絶確認法—セグロウリミバエを例としてー
Verification Method for the Eradication of Invasive Insect Pests Using a Trap Network: A Case Study of Zeugodacus tau

*本間淳(沖縄県病害虫防技セ)
*Atsushi HONMA(Okinawa Pref. Pl. Prot. Cent.)

侵入害虫の根絶事業において最終的に根絶を宣言するには、個体数がゼロであることを直接証明することは不可能であるため、個体数が実質的にゼロであると科学的に判定する手法が必要となる。これまで日本の特殊害虫根絶事業では、防除効果確認モニタリングにおける寄主果実調査での連続非検出に基づく久野(1978)の方法が用いられてきた。しかし本手法は低密度の推定は可能である一方、ゼロの確認はできないとの指摘もある。そこで本研究では、もう一つの主要なモニタリング手法であるトラップ調査の連続非検出データを用い、対象侵入害虫の個体数が「ゼロ」であると判定する方法の開発を試みた。具体的には、一定密度で配置されたトラップネットワーク内に1個体が存在する場合に95%以上の確率で検出されるまでの期間を超えて誘殺が起こらなければ、その地域の個体数はゼロと判断できるとする。手順は次のとおりである。(1)標識再捕獲により、トラップからの距離に応じた放飼後1週間の誘殺数の減衰曲線を推定する。(2)これに基づき、トラップから一定距離内に1個体が存在する場合の1週間あたりの平均誘殺確率を算出する。(3)その個体が95%以上の確率で捕獲されるのに必要な週数を求めることで、「ゼロ確認」を宣言するために必要な最低非検出期間を算出する。加えて、(4)調査期間中の個体群増殖を考慮するYamamura(2016)の手法を導入することで、この期間を大幅に短縮できた。本研究では、現在沖縄本島および周辺地域で不妊虫放飼法による根絶事業が進められているセグロウリミバエ(Zeugodacus tau)のデータを用いて本手法を評価した。その結果、沖縄本島で運用されている半径500mのトラップネットワークを前提とすると、数世代にわたるゼロ検出を達成すればゼロ確認が可能であることが示された。


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