| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) M02-12 (Oral presentation)
本研究では、従来のランダムデザインによる生命表反応解析(LTRE: Life Table Response Experiment)を拡張し、環境変動が個体群動態に与える影響をより詳細に評価する新たな解析枠組みを開発した。具体的には、LTRE分析に「個体の流れ行列」を統合することで、生存・成長・繁殖の変動がもたらす個体群成長率(λ)の分散を、個体の流れの分散として分解できる点が特徴である。従来のLTREが主としてλの時間変動の分解に焦点を当てるのに対し、本手法では、年ごとの環境変動がステージ間の個体の流れそのものに与える分散への影響も解析可能となる。本枠組みを北海道に生育するオオバナノエゾエンレイソウ(Trillium camschatcense)の長期個体群データに適用した結果、年変動に対して特に感受性の高い生活史特性およびステージ遷移が明らかとなった。さらに、本統合分析により、個体群成長率だけでは捉えきれない、環境変動に伴うステージ間の流れの変化が可視化され、従来手法では見落とされがちな潜在的な個体群動態のメカニズムをより深く理解できることが示された。