| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P0-002 (Poster presentation)
幼児期における自然環境での遊びや探索活動は、身体的・認知的・社会情緒的発達に寄与し、将来的な環境意識の形成にも影響を及ぼすことが指摘されている。しかし、都市化や生活様式の変化により、子どもが日常的に自然と接する機会は減少しており、幼児期の自然体験を確保することが課題となっている。こうした状況の中で、保育施設は、幼児が日常的に自然と関わる経験を提供する重要な役割を担っている。
保育実践の現場では、園庭に限らず、公園や周辺の自然環境、散歩や近隣の歩行路などの身近な環境が日常的な屋外活動の場として活用されていることが報告されている。一方で、保育者自身が自然体験の場をどの程度十分であると感じているのか、またその認識が保育施設周辺の環境条件とどのように関連しているのかについては、十分に明らかにされていない。
本研究では、立地環境の異なる184の保育施設に勤務する420名の保育者を対象にアンケート調査を実施し、施設周辺環境データと統合して分析した。その結果、保育者が感じる自然体験場所の充足感は、施設近傍500m以内の森林・草地・水辺の存在と有意に関連していた。また、自然体験活動の頻度や多様性は、保育者の自然体験への関心、幼少期の自然体験頻度、ならびに自然体験場所の充足感と関連していた。これらの結果は、保育施設における自然体験の実践が、保育者自身の認知や経験に基づく意思決定だけでなく、周辺環境の物理特性にも依存していることを示しており、幼児の自然体験機会の確保に向けた重要な示唆を与えるものである。